中国で流行の「ヒトメタニューモウイルス」感染症 ― 医師が注意すべきポイント
中国で「ヒトメタニューモウイルス」(HMPV)の感染が拡大しています。咳や発熱、鼻づまりなどのインフルエンザに似た症状を引き起こすこのウイルスは、春節(旧正月)の連休に伴う90億人もの大移動により、さらなる感染拡大が懸念されています。
日本国内でもたびたび感染例があり、今後の動向が注目されます。
本記事では、医師として注意すべき点を解説します。
ヒトメタニューモウイルスとは?
特徴と症状
ヒトメタニューモウイルスは2001年に発見された呼吸器ウイルスで、風邪やインフルエンザに似た症状を引き起こします。
通常は軽症で済むものの、乳幼児、高齢者、免疫力が低下している方では肺炎や重篤な合併症を引き起こすリスクがあります。
- 主な症状:咳、発熱、鼻づまり、倦怠感
- 潜伏期間:3~6日
- 治療法:現在ワクチンや特定の抗ウイルス薬はなく、対症療法が中心
このウイルスは新型ではなく、従来から存在しているものですが、感染症例が増加していることから注意が必要です。
中国での現状と春節の影響
感染拡大の状況
中国では昨年11月から北部を中心に感染が広がり、南部でも患者が増加しています。WHOは「感染者の規模は想定の範囲内」としつつも、中国当局と協力して監視を続けるとしています。
一方、中国のソーシャルメディアには病院が患者でごった返す様子が投稿され、医療現場の負担が浮き彫りになっています。
春節の大移動
今年の春節(1月28日~2月5日)は、過去最多となる延べ90億人が移動する見込みです。この大移動によって、ヒトメタニューモウイルスやインフルエンザなどの感染症の急速な拡大が懸念されています。
こうした状況を踏まえると、日本国内でも注意が必要です。
日本政府の対応と国内の流行予測
入国規制はなし
現時点で日本政府がヒトメタニューモウイルスに対する特別な入国規制を行う予定はありません。しかし、春節による訪日観光客の増加に伴い、日本国内でも感染が拡大する可能性があります。
流行が予測される理由
- インフルエンザに似た症状のため、早期診断が難しい
- 冬季は呼吸器感染症がピークを迎える時期
- ワクチンや特効薬が未整備
医師が注意すべきポイント
1. 感染症の見極め
咳や発熱を訴える患者には詳細な問診を行い、他の感染症(インフルエンザや新型コロナウイルス)との区別を意識してください。
ヒトメタニューモウイルスの検査は、綿棒で鼻の奥の粘液を採取して行う迅速検査で、インフルエンザ同様に保険診療です。
小児や高齢者、免疫力が低下している患者には、早期の対応を推奨します。
2. 院内感染の防止
今後の感染拡大が見込まれます。以下に注意して院内感染の防止を徹底しましょう。
- マスク着用と手指消毒の徹底
- 診療所内の換気や患者同士の接触を減らす工夫
- スタッフの感染予防教育の強化
3. 最新情報の収集
最新ニュース、WHOや厚生労働省の発表に注目し、感染状況や予防策のアップデートを確認してください。
まとめ ― 感染症拡大に備える
ヒトメタニューモウイルスは致死率が低いものの、流行が予測される中で医療現場の備えが求められています。医師としては、最新情報の収集に努め、地域の健康を守る役割を果たすことが求められます。
感染症の拡大を防ぐためにも、診療体制を見直し、柔軟な対応を準備しましょう。
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